野菜の栄養
トマトときゅうりの組み合わせで、
きゅうりの「アスコルビナーゼ」という成分が
トマトのビタミンCを破壊するのであまりよくない組み合わせらしいのですが、
他に身近な野菜で一緒に食べるとあまりよくないような物はありますか?
先日も、ある医師がテレビで「きゅうりはトマトのビタミンCを破壊する」と言っていましたね。
しかし、にんじんやきゅうりには、アスコルビナーゼ(正式にはアスコルビン酸酸化酵素)が含まれていて、その酵素はビタミンCを破壊する酵素であるというのは、明らかな間違いです。
女子栄養大学教授の辻村卓氏によると
女子栄養大学で学生・大学院生らと行った実験で、「大根とにんじんをすりおろしたものを60分経過後にビタミンCの残存率を調べたところ、91%もありほとんど減少していなかった」という結果が出ています。
この実験でのビタミンCとは、還元型と酸化型のビタミンCを合計した総ビタミンCのことです。
ビタミンCには還元型と酸化型の2つの型があり、この実験で総ビタミンC中に占める酸化型ビタミンCの割合が実験スタート時には18%であったものが、15分後には73%、60分後には81%に増加していました。
これはアスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)の働きなどにより、還元型ビタミンCの酸化が進み、酸化型ビタミンCが増加したものと考えられ、
すなわち、総ビタミンC量がほとんど変わらず酸化型が増え、還元型が減少したことになります。
よって、もみじおろしのビタミンCは還元型から酸化型に変化しただけということになります。
アスコルビナーゼ伝説は40〜50年も前のもので、科学的根拠のないまま引用、孫引きされ、一般向けの参考書に残り、インターネットなどの普及したことなどから、間違っまま広まってしまったものと考えられます。
ちなみに還元型と酸化型の効力の違いについても、
1970年代に女子栄養大学で医師、看護士、栄養士が参加したビタミンC研究チームによって行われた、被験者の男女20名を2つのグループにわけ、Aグループには還元型ビタミンC、Bグループには酸化型ビタミンCを同量、口径投与した後、時間経過とともに各人の尿中及び、血液中のビタミンCを測定したところ、どちらのグループも人体内ではほとんどが還元型として存在していることから、
還元型と酸化型ビタミンCの効力は同等であると結論付けられました。(1986年にも同じような人体実験を実施したところ、やはり同様の結果でした)
このことから、日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会は、科学技術庁資源調査会の問い合わせにたいして、
「還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの効力は同等である」という見解を報告し、
1982年公表の「四訂日本食品標準成分表」から現在まで還元型と酸化型ビタミンCを合計した
総量をビタミンC量として示されています。
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